NARDI(ナルディ)/社外ステアリング本革張替え/ステアリング本革張替え/ステアリングリペア/本革/レザー/ストレートステッチ/愛知県から
- atom watanabe
- 8月12日
- 読了時間: 6分
更新日:9月13日

クラシックカー界隈では定番中の定番、**ナルディ(NARDI)**のステアリング。特に「クラシック」シリーズは、メッキとレザーの融合による独特の高級感が多くのユーザーに愛されています。しかし、長年の使用や経年劣化によって、ステアリングの革部分はどうしても傷んでしまいます。特に、レザーのひび割れやステッチのほつれ、さらには革のべたつきや色褪せが問題になることが多いです。今回は、限りなく当時の新品の状態の仕上がりに施工していきます。
★施工内容★
・ステアリング張替え(本革)
・本革(黒)
・ストレートステッチ(黒)
ステアリング張替え前に確認すべき3つのポイント

正規品 or コピー品の見分け
ナルディ製品は人気ゆえ、コピー品が多く出回っています。張替え前に必ず確認しておきましょう。
正規品はセンターに「NARDI ITALIA」の刻印
ホーンボタン裏にシリアル番号プレートがあるものも存在
グリップ形状やスポークのエッジ処理が非常に滑らか
コピー品を張り替えても価値は戻りません。レストア対象としての価値があるかどうか、見極めてから作業に入ります。
クラシックナルディを張替える手順

STEP 1:革の除去とグリップチェック
既存の革をカッターで丁寧に切り開き、古い接着剤を完全に除去。ステアリング本体に損傷がある場合は、この段階で補修しておきます。
ポイント:
金属スポーク周辺は塗装が剥がれやすいため、カッターの刃を入れすぎない
グリップ本体の発泡ウレタンに亀裂がある場合は、エポキシパテ等で成形して補修可能

STEP 2:張替えの本革をカット
縫いしろは片側5mmを目安に加える
ステアリングのカーブに追従するよう、左右非対称に調整
革は若干伸びるため、全長は実測値の−3〜5mm程度を目安に。

STEP 3:革の裁断と穴あけ
革をカット。端は菱目打ちを使って5mm間隔で斜め45度の縫い穴を開けていきます。
注意点:
穴はズレると縫い目が歪むため、定規とポンチ台を使って精密に
合皮の場合、打ちすぎると破れやすくなるため、千枚通しのほうが安全

STEP 4:縫製
本革工程の山場です。革の端をピッタリと合わせながら、**ストレートステッチ**で縫い進めていきます。
糸はステアリング外周の6倍〜7倍を用意
糸のテンションを均一に保つことで、縫い目の美しさが決まる
作業途中で革がズレる場合は、仮止めにマスキングテープを使用
完成度を高めたいなら、ステッチが左右対称になるよう、起点と終点を計算してから縫い始めましょう。

STEP 5:スポーク周りの処理
G17接着剤は薄く塗布し、5〜10分乾燥させてから圧着
乾く前に位置調整をしないと、シワが発生しやすい
折り返し部分の断面処理には、トコノールやヘリ落としを使用すると見栄えがアップ

STEP 6:仕上げと保護処理
革表面にレザーコンディショナーを塗布し、艶と保護効果を付加。特にハンドルは直射日光や汗に晒されやすいので、保湿は必須です。
2. 張替えに使用する素材の選定

本革 vs 合成皮革(合皮)
ステアリングの張替えに使用する素材は、大きく分けて本革と合成革(合皮)の2種類です。それぞれにメリットとデメリットがあります。
本革(オススメ):
メリット:自然な質感、耐久性、経年変化の美しさ(風合いが増す)、修理や補修が可能。
デメリット:加工難易度が高い、価格が高め。
推奨する理由:クラシックなナルディステアリングには、質感の高い本革が最適です。特に、セミアニリン仕上げの牛革(0.9〜1.2mm厚)がオススメです。
合成革(合皮):
メリット:価格が安い、加工が容易、耐水性が高い。
デメリット:本革に比べて耐久性が劣る、経年劣化でひび割れしやすい。
推奨する理由:予算を抑えたい場合や、使用感を気にしない場合には合皮も選択肢として考えられますが、本革の質感に勝るものはないと考えます。
結論:本革を選ぶことで、高品質な仕上がりを実現できます。
【サイド】

before

after
本革には艶や保湿性があるものですが、施工前の状態では触り心地はカサカサしていて、ヒビ割れているところに粉状のものがでています。サイドはドライブ中にもっとも触れる部分なので1番触り心地が気になるところです。裏にはボコボコとした部分があるので、しっかりとそわせて張替えます。
【ステッチ】

before

after
施工前のNARDI(ナルディ)のステッチは経年劣化により、本来の色味とはことなっています。元の色でリペアではなく、黒を使用して風合いを少し変えて張替えをしました。社外ステアリングに多いストレートステッチで手縫いを施します。また、ステッチの強度も重要になりますので一本一本ロウ引きしました。
【ステアリング全体】

before

after
劣化により全体的にヒビ割れや表面の剥がれが目立ちます。ステアリングの上部は本革特有の艶としっとりさが無くなっています。このままこちらステアリングを使用し続けると、
ドライブ中に滑りやすくなり、支障がうまれます。リペアすることで、本来の本革ステアリングの良さを復活させます。合皮レザーでも十分なものではありますが、やはり本革でしかだせない効果もありますので、お悩みになった際はぜひ一度ご相談ください。
【社外ステアリング NARDI(ナルディ)】

NARDI(ナルディ)は、イタリアの老舗ステアリングブランドで、1950年代にエリンコ・ナルディによって設立されました。フェラーリなど高級車にも採用されたこともあります。
デザイン性と品質の高さで世界中にファンがいます。特にウッドステアリングが有名で、"クラシックカー"や"ディープコーンタイプ"もあり、ドリフト界やカスタムカー界でも人気を誇っています。握り心地や操作性にも優れ、車内の雰囲気を一気に格上げしてくれるステアリングとして、多くのドライバーに選ばれています。
【本革について】

本革のステアリングは、手に吸い付くような自然なフィット感と、滑りにくくしっかりとしたグリップ力が特徴です。人工素材では得られないしっとりとした質感があり、長時間の運転でも手が疲れにくく、ドライバーとの一体感を高めてくれます。使い込むほどに革が手になじみ、自分だけの風合いに育っていくのも本革の魅力です。革の経年変化(エイジング)は、時間と共に深みのある色味や質感へと変化し、愛車との思い出を刻んでいくような特別感があります。さらに、本革ステアリングは見た目にも高級感があって、車内の印象をグッと引き締めてくれます。本革ステアリングは、見た目・触り心地・耐久性のすべてに優れた素材であり、車を単なる移動手段から"所有する楽しみ"へと変えてくれる存在です。
=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-
custom repair RISH
(カスタムリペアリッシュ)
〒194-0203
東京都町田市図師町997-3 1F
TEL: 042-860-0221
Email: info@custom-repair-rish.com
=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-
コメント